超加工食品とは?食べ過ぎが危険といわれる2つの理由を管理栄養士が解説
産業の発達とともに進化する加工食品。
近年では素材そのものを活かすのではなく、加工度の高い「超加工食品」を目にする機会が増えています。
超加工食品とは具体的に何か、また食べ過ぎによる健康への影響も気になりますよね。
そこで今回は、超加工食品とは何か、食べ過ぎが危険と言われる理由を管理栄養士が解説します。
- 超加工食品とは何か知りたい方
- 超加工食品の危険性が気になる方
超加工食品とは?
超加工食品とは、糖分や脂質、塩分、そして添加物が多く含まれている加工度の高い食品のことです。
魅力的なパッケージや長期常温保存ができることも超加工食品の特徴です。
例えば、カップラーメンやスナック菓子、ジュースなど体に悪いイメージのあるジャンクフードは、超加工食品の可能性が高いです。
超加工食品の食べ過ぎが危険といわれる2つの理由
超加工食品の食べ過ぎは、がんの発症リスクと成人の死亡リスクを上昇させることが明らかになっています。
2022年現在もフランスで行われている調査「NutriNet-Sante Study(フランス国民の食事行動と栄養健康調査)」の2009年〜2017年のデータを元にパリ13大学の研究チームが発表した論文では、超加工食品はがんの発生リスクを12%、成人の死亡リスクを14%上昇するとまとめられています。
この調査では、食品の加工度合いによって4つに分類した「NOVA分類」が用いられました。
- 野菜や果物、牛乳など未加工又は少し加工している食品をグループ1。
- グループ1を原料にして自宅やレストランで使用するバターや精製した塩などをグループ2に分類。
- グループ3は、グループ1とグループ2を足してできる瓶詰やチーズなどで加工食品に分類。
- グループ4は、グループ1の使用割合が少なく、グループ4の加工食品に添加物などを足している食品が添加物超加工食品に分類。
NOVA分類はブラジル・サンパウロ大学公衆衛生学部の研究者らが考案し、「超加工食品」を定義づけました。
超加工食品の食べ過ぎが危険な理由①がんの発症リスクが12%上昇する
「NutriNet-Sante Study(フランス国民の食事行動と栄養健康調査)」を元にしたパリ13大学の研究チームが発表した論文「超加工食品の消費とがんリスク」によると、食事中の超加工食品の割合が10%増加すると、全身がんおよび乳がんのリスクが10%を超える関連性が明らかになっています。
また、この調査に参加した男性 22,821人 (21.7%)、女性 82,159 人(78.3%)のうち、食事全体に対する超加工食品が与える影響は、男性で18.74%、女性で18.71%と非常に似た結果となりました。
調査対象は女性の割合が多かったにも関わらず、このような男女差が出なかったということは性別に関係なく、超加工食品の摂取量とがんの発生リスクが関連付けられているのではないかと予測されています。
超加工食品の食べ過ぎが危険な理由②成人の死亡リスクが14%上昇する
また、「NutriNet-Sante Study(フランス国民の食事行動と栄養健康調査)」を元にしたパリ13大学の研究チームが発表した別の論文「フランスの中年成人における超加工食品の消費と死亡リスクとの関連」によると、超加工食品の摂取量が10%増えるごとに、死亡リスクが14%上昇することに相関関係があることも明らかになっています。
2009年から2017年の15万8361人のデータのうち、正確なデータが測定できる45歳以上の成人4万4551人を対象としています。
ウェブをベースにした回答方式を採用したこの調査で分かった超加工食品の摂取量と関連していた要因は以下です。
- 年齢が若い(45~64歳)
- 所得が低い(1200ユーロ/月未満)
- 学歴が低い(初等学校卒業まで)
- ひとり暮らし・BMIが30以上
- 日常で体を動かすことが少ないなど
さらに、超加工食品の摂取が多いほど、糖分や脂質、塩分、飽和脂肪酸の摂取量が多く、食物繊維の摂取量が少ない傾向にあります。
超加工食品の一覧
超加工食品の一例をNOVA分類で整理してみました。
超加工食品の一覧です。
- カップラーメン
- スナック菓子
- ジュース
- カラフルな色をしたチョコレート
- 温めて単品で1食分となる冷凍食品
カップラーメンやスナック菓子、ジュースなどは超加工食品であることは想像できますね。
意外なのは温めただけで食べられるスパゲティなどの冷凍食品やカラフルな色をしたチョコレートです。
単品で1食分の食事となる冷凍食品には、着色料や香料、乳化剤などの多くの添加物が使用されています。
カラフルなチョコレートも例外ではありません。
チョコレートの主原料であるカカオの含有率は低く、香料や口の中で溶けやすいように乳化剤が使用されています。
便利に食べられる超加工食品ですが、食べ過ぎには気をつけたいですね。
まとめ
超加工食品とその危険性についてまとめてみました。
超加工食品とは、糖分や脂質、塩分、そして添加物が多く含まれている加工度の高い食品です。
超加工食品が市場に出回り、調理せずに食べることができて利便性が増した一方で、がんや死亡リスクを上昇させることが明らかになっています。
人生100年と言われている現代において、病気をせずに健康でいるためにも超加工食品の摂取頻度をいま一度見直してみてはいかがでしょうか。
◯参考文献
NutriNet-Sante Study(フランス国民の食事行動と栄養健康調査)
NOVA分類
超加工食品の消費とがんリスク
フランスの中年成人における超加工食品の消費と死亡リスクとの関連
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