【管理栄養士解説】ラカントの危険性とデメリット|子どもにメリットはある?
血糖値が上がりにくいゼロカロリー甘味料のラカント。
ラカントは、砂糖の代替品としてダイエッターや血糖値コントロールをしている方の間で注目されています。
JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門委員会)によって、その安全性は認証されており、一日の摂取量に上限はありません。
天然由来の甘味料「ラカント」ですが、その危険性とデメリットが気になりますよね。
そこで今回は、ラカントの危険性とデメリット、さらに子どもがラカントを砂糖の代わりとして食べるメリットはあるのか管理栄養士みのりが解説します!
- ラカントの危険性とデメリットが気になる方
- こどもがラカントを食べるメリットはあるのか気になる方
ラカントの危険性と3つのデメリット
ラカントの危険性とデメリットは3つあります。
- 他の甘味料よりも高価であること
- おなかが緩くなる可能性があること
- アレルギーを引き起こす可能性があること
価格
グラニュー糖や白砂糖、てんさい糖と比較するとラカントSは高価です。
グラニュー糖 | 白砂糖 | てんさい糖 | ラカントS |
---|---|---|---|
580円 | 540円 | 1,400円 | 2,844円 |
グラニュー糖は1kg当たり税込580円、白砂糖は税込540円。
ミネラルが豊富で血糖値の上昇が緩やかなてんさい糖は、1kg当たり税込1,400円です。
一方、サラヤ公式通販のラカントSの価格は、税込2,844円です。
中国の一部地域でしか栽培されていない貴重なラカンカを使用するため、高価ですね。
下痢
ラカントSの主成分「エリスリトール」は、大量摂取をすると体質によっては下痢を引き起こすことが報告されています。
しかし、エリスリトールによる下痢の作用は一時的なものであり、問題ないとされています。
東京都福祉保健局の調査によると、エリスリトールを一度に摂取しても下痢を起こさない量は成人女性で0.8g/kgと結論付けています。
例えば、50㎏の女性が一度に40gのエリスリトールを含む食事をしても下痢を引き起こさないことになります。
一度にこれだけ大量のエリスリトールを摂取することは考えにくいですね。
参考:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/hyouka/files/26/jyoho1/shiryou2-1.pdf
アレルギー
消費者庁の食物アレルギー調査報告書(2013年)によると、エリスリトールをはじめとするキシリトールやオリゴ糖、人工甘味料などの甘味料でアレルギーを引き起こしたのは33件です。
うち、16件がエリスリトールによってアレルギーが引き起こされたものと報告されています。
この結果を受け、消費者庁はエリスリトールの摂取によるアレルギーへの対策を検討していますが、現在具体的な対策は発表されていません。
アレルギーを引き起こすリスクには十分注意する必要がありますね。
ラカントとは
一般的に使用されているラカントの商品名はラカントSです。
ラカントSの主成分は、エリスリトールと羅漢果(ラカンカ)エキス。
2つの天然素材から作られたカロリーゼロの甘味料です。
添加物には、甘味料のラカンカ抽出物が使用されています。
サラヤ株式会社から販売されているラカンカSの原材料は以下です。
原材料 | 低カロリー甘味料〔原材料名〕エリスリトール(中国製造・遺伝子組み換えでない)、ラカンカエキス/甘味料(ラカンカ抽出物) |
エリスリトールは、遺伝子組み換えでないとうもろこしのでんぷんを発酵して作られます。
エリスリトールは体内でエネルギーとして利用されず、尿中に排出されます。
また、血糖値を上げず、虫歯菌が作用しにくい糖質です。
羅漢果(ラカンカ)は、中国では「神果」と言われ、古くから漢方として利用されてきたウリ科の果実です。
添加物には、羅漢果から抽出して得られた甘味成分が使用されています。
羅漢果の甘味成分は、砂糖の約300〜400倍の甘さがあり砂糖に似た味が特徴です。
遺伝子組み換えでないとうもろこしは安心ですね。
ラカントは糖尿病になる?
結論から言うと、ラカントで糖尿病になることはありません。
日本病態栄養学会は、ラカントSは血糖値およびインスリン値に影響せず、糖尿病患者における砂糖代替甘味料として有用であることが考えられると結論付けています。
参考:http://www.health-cooking.jp/pdf/dm_docu2.PDF
SNSなどインターネット上で、ラカントが糖尿病を引き起こす可能性があると書かれていますが、そのような事実はありません。
子どもがラカントを食べるメリットはある?
カロリーゼロ、かつ血糖値に影響を与えない天然由来のラカントは子どもが摂取する上で少量であれば問題はありませんが、メリットはありません。
エリスリトールの安全性は複数の試験で証明されており、子どもも食べることができます。
”「ラカントS顆粒」、「ラカントSシロップ」、「ラカントホワイト」の主成分である「エリスリトール」は、単回経口投与、反復経口投与、生殖毒性、変異原性・抗原性試験(アレルギー性試験)、および代謝試験などが実施されており、安全性は証明されておりますのでご安心ください。”
引用:https://faqsystem.jp/saraya_cc_faq/article/94
しかし、フランスで4〜6歳児を対象に行われた研究によると、飲み物に 2.5%のエリスリトール使用した場合は、下痢を引き起こす懸念があるとしています。
これは、他の食品からもエリスリトールを摂取していることを考慮したためです。
そして、砂糖に限らず「甘味」は、生命活動に欠かせない糖質です。
エネルギー源の主体となる糖質は、人間が本能的に好むようにできています。
カロリーゼロだからといって、安心して大人と同じ量のラカントを摂取させることのメリットはありません。
砂糖などの「甘味」に幼少期から慣れてしまうと、将来の生活習慣病リスクにつながりかねませんね。
幼少期の味覚が大切な理由は、こちらの「子どもの味覚を育てる3のポイント|発達と味蕾の意外な関係を管理栄養士が解説!」の記事で詳しく解説しています。
まとめ
ラカントの危険性とデメリット、子どもがラカントを砂糖の代わりとして食べるメリットはあるのか解説しました。
サラヤが販売している「ラカントS」は、エリスリトールと羅漢果(ラカンカ)を原材料にした天然由来の甘味料です。
ラカントSは、人体へ直接悪影響を及ぼす甘味料ではなく、血糖値コントロールの必要な方にとっては有用な砂糖代替品です。
しかし、味覚の敏感なこどもが砂糖の代替品としてラカントを口にするメリットはありません。
甘味に慣れてしまわないよう、基本的に摂取は控えることが望ましいですね。
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