子どもの味覚を育てる3のポイント|発達と味蕾の意外な関係を管理栄養士が解説!
食の多様性が進み、様々な食材に触れる機会が増えている昨今。
様々な食べ物を見かけるようになった一方で、好き嫌いが多い子や食が細い子、偏食な子など、子どもの「食」に関して悩んでいるお母さんは多いのではないでしょうか。
子どもの好き嫌いを減らして味覚を育てるポイントや発達段階における味覚と味蕾の関係性が気になりますよね。
そこで今回は、子どもの味覚を育てる3つのポイントと乳幼児期における味覚の発達と味蕾の意外な関係を管理栄養士みのりが解説します!
- 子どもの味覚を育てるポイントを知りたい方
- 子どもの発達と味蕾の関係を知りたい方
子どもの味覚は育つ?
食に関する様々な経験を重ねることで、食べることができる味が広がります。
幼少期に、より多くの味を知り、味の経験を広げておくことで味覚は発達します。
甘い、しょっぱいなど単純な味だけではなく、苦みや酸味などの味を経験し、様々な味を受け入れていくことが大切です。
子どもの味覚を育てる3のポイント
まず、子どもの食事は薄味を基本にすることはマスト。
そして、五感を使って食材に触れ、食べ物を通してコミュニケーションをとることも子どもの味覚を育てる上で重要なポイントです。
子どもの味覚を育てる3のポイント①薄味を定着させ安心できる味に
薄味を子どもの頃から定着させることで、長年慣れ親しんだ味として「薄味=安心できる味」になります。
濃い味付けに慣れてしまうと、薄い味付けの料理が物足りなく感じてしまいます。
例えば、旅行などで海外へ行った際に味噌汁やおにぎりなどの日本食が恋しくなることはありませんか?
それは長年口にしてきた味を脳が学習し、好きなもの(し好)が定着しているからです。
薄味を食べ慣れた好きな味にして定着させましょう。
子どもの味覚を育てる3のポイント②五感を使って食材に触れる
子どもの味覚を育てるために五感を使って食材に触れましょう。
五感は、味覚の他に視覚、聴覚、嗅覚、触覚があります。
特に、五感のなかでも最も原始的と言われている「嗅覚」は子どもの味覚を育てるために重要な要素です。
嗅覚からの情報は、他の4つの感覚と伝達の仕方が異なり、神経から直接脳に伝わるため人間の五感のうちで一番本能的な感覚です。
例えば、焼き鳥を思い浮かべた時に「食欲がそそられる香ばしいにおい」などの「香り」が思いつきませんか?
また、塩素のにおいをかぐと、プールを思い浮かべることもあるでしょう。
これらは、香りの方が味よりも記憶に残りやすいという脳のしくみが大きく関係しているためです。
五感の一つである嗅覚を活かすため、だしで香りを効かせた料理で食材に触れることができますね。
だしの香りはもちろん、食材の切り方を変えて食感を変えたり視覚を刺激するなど五感を使って味覚を育てましょう。
子どもの味覚を育てる3のポイント③食べ物を通してコミュニケーションを取る
おいしいと感じるには、食べるときの環境も重要なポイントです。
家族で食事をすることで「食べてみたらおいしい」と新しい発見があったり「こっちは甘くてこっちは酸っぱい」「トマトは丸くて赤い」など、「食事=楽しい、おいしい」だけでなく、言葉の表現も自然と覚えることができます。
共働きなどで忙しい家庭こそ食事の時間は大切にしたいですね。
子どもの味覚の発達と味蕾の意外な関係
「味」を感じ取る機能を持つ味蕾(みらい)。
味蕾は舌の表面に存在しており、乳児期には約1万個存在しているとされています。
その後、成長するに従って味蕾の数は減少していき、個人差はありますが成人になると約7,500個になるとされています。
さらに、乳幼児期における食べ物の好き嫌いは、本能が大きく関係しています。
意外かもしれませんが、成長と共に甘みや塩みなどの「味」を感じとる味蕾の数は減少します。
さらに、人間には生まれながらにして求めている味があり、「甘味」「塩味」「うま味」です。
味には「甘味」「塩味」「うま味」「酸味」「苦味」の五味があります。
それぞれが、人間が生きていく上で重要な役割を担っています。
- 甘味→エネルギー源である糖を感じ取る
- 塩味→発育や生理機能を保つのに必要なミネラル分を感じ取る
- うま味→体を作るたんぱく質を感じ取る
- 酸味→腐敗していることや未熟な果物であることを感じ取る
- 苦味→毒の存在を感じ取る
甘味は、糖質を主体としたエネルギー源になります。
塩味は、マグネシウムやカルシウム、鉄分などのミネラルです。
人間の発育や生理機能を正常に保つために必要不可欠です。
そして「うま味」は、体を作るたんぱく質の補給源です。
これらの味は、生命活動に欠かせないため本能的に好むようにできています。
一方、酸味や苦味はどうでしょうか。
酸味は、腐敗していることや未熟な果物の味を感じ取ります。
苦味は毒の存在を感じ取るために存在しています。
酸味や苦味は、様々な食経験を積むことによって「毒ではない味」と脳が理解して抵抗がなくなります。
好き嫌いがあるのはその食材が危険であると感じ取るために必要なんですね。
まとめ
子どもの味覚を育てる3つのポイントを管理栄養士みのりが解説しました。
人間が生きていく上で必要な栄養を摂取するために存在している味覚。
味覚は、味蕾細胞によって脳に伝えられ、味を感じ取っています。
味を感じ取るセンサーの味蕾は、乳児期をピークに減少していきますが、幼少期の様々な食経験や食事の環境によって味覚は育てることができます。
幼少期に薄味を定着させて食事環境を整え、様々な食経験を積んで味覚を成長させましょう!
参考文献:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jriet1972/22/10/22_10_604/_pdf
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