【管理栄養士解説】濃縮還元とストレートに栄養の違いはない!驚くべきその理由とは
果汁をそのまま使用したストレートは体に良いが、濃縮還元は栄養がない。
このようなことをイメージしている方は多いのではないでしょうか。
栄養がないというイメージの濃縮還元を避け、あえてストレートを選ぶ方は多いですが、本当に栄養価に違いはあるのでしょうか。
そこで今回は、濃縮還元ジュースとストレートジュースに栄養の違いがない驚くべき理由を管理栄養士みのりが解説します!
- 濃縮還元とストレートの栄養価の違いが気になる方
- 濃縮還元には栄養がないと言われる理由が知りたい方
濃縮還元とストレートに栄養の違いはない!
濃縮還元とストレートに大きな栄養の違いはみられません。
むしろ栄養素によっては、濃縮還元のほうがストレートよりも栄養価が高いものもあります。
日本標準食品成分表2020年版によると、濃縮還元ジュースとストレートジュースには大きな栄養の違いはありません。
以下は、バレンシアオレンジジュースの栄養成分表です。
バレンシアオレンジは、100g当たりの食物繊維は0.8gです。
濃縮還元の場合は100gあたり0.2g、ストレートの場合は100gあたり0.3gです。
オレンジを加工しない状態で食べるよりも、0.5g〜0.6gの食物繊維が減っています。
濃縮還元とストレートの差は100gあたり0.1gと少ないです。
そして、バレンシアオレンジの100gあたりのビタミンCは40gです。
濃縮還元の場合は100gあたり42g、ストレートの場合は100gあたり22gです。
ビタミンCは、加工していないフレッシュなバレンシアオレンジよりも、濃縮還元のほうが多いことが分かります。
以下は、りんごジュースの栄養成分表です。
りんごは、100gあたりの食物繊維は1.4gです。
濃縮還元とストレートは共にTrです。
Trとは、 ごく微量含まれているが、表示に満たない量であることを示しています。
りんごの濃縮還元とストレートには、食物繊維が表示に満たない量しか残っていません。
そしてりんごの100gあたりのカリウムは120gです。
濃縮還元の場合は100gあたり110g、ストレートの場合は77gです。
カリウムは、ストレートよりも濃縮還元の方が多いことが分かります。
濃縮還元とストレートに大きな栄養の違いがないのは意外ですね。
濃縮還元とストレートジュースの根本的な違いについては「【濃縮還元とストレート】違いやメリット・デメリットを徹底比較!ジュースを買うならどっちがいい?」の記事で紹介しています。
濃縮還元とストレートに栄養の違いがない理由
濃縮還元とストレートに大きな栄養の違いがない理由は、どちらも加熱処理されているためです。
この加熱処理によって、ビタミンCの効力が失われてしまいます。
果汁100%のストレートジュースであっても、加工処理の際には細菌の繁殖を防ぐために加熱処理は欠かせません。
仮に、ストレートジュースを非加熱で瓶やパックに詰めた場合、細菌の増殖による腐敗が進んでしまうことは言うまでもありません。
果汁100%のストレートジュースが非加熱で提供されている場合は、瞬間冷凍されて提供前に解凍されたジュース、もしくはその場で絞って提供される搾りたてのフレッシュジュースです。
濃縮還元には栄養がないと言われる理由
濃縮還元には栄養がないと言われる理由は、「国産が良し」とされているためです。
さらに、国産を優先するばかりに、外国産の濃縮還元があたかもよくないイメージになってしまったことも原因と推測されます。
国産の野菜や果物を消費することは輸送によるCO2の削減や、国内自給率の向上にはとても大切です。
しかし、栄養面において必ずしも国産が良いわけではありません。
野菜や果物の保存温度や旬によって栄養価は大きく異なります。
「国産は良くて外国産は良くない」。
このような印象だけがひとり歩きしてしまった結果、輸入製品の濃縮還元が悪者扱いされてしまった結果であることは否定できません。
濃縮還元とストレートに栄養の違いはない理由のまとめ
濃縮還元ジュースとストレートジュースに栄養の違いがない理由を解説しました。
濃縮還元とストレート。どちらも加熱処理されており、失われる栄養素に大きな違いはありません。
濃縮還元には栄養がないと言われていますが、ひとり歩きしてしまった結果であると推測されます。
濃縮還元には栄養がないからストレートが良いということはなく、購入者自身の基準に沿った選び方が大切です。
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