【具体例】添加物のキャリーオーバーとは?無添加でも表示省略に要注意
食品の添加物表示のうち表示義務のない添加物があることをご存じですか?
日本の食品表示ルールでは、無添加商品であっても本当に添加物が使用されていないのか、パッケージ情報から判断することは困難です。
今回は、表示免除されている添加物のうち、キャリーオーバーについて具体例付きで管理栄養士みのりが解説します。
身近な食品には、キャリーオーバーで添加物の表示が省略されている可能性が高い加工食品ばかりです。
ぜひ最後まで読んでください。
- 添加物のキャリーオーバーとは何か知りたい方
- キャリーオーバーの具体例を知りたい方
添加物のキャリーオーバーとは?
キャリーオーバーは、厚生労働省によって以下のように定義されています。
”原材料の加工の際に使用されるが、次にその原材料を用いて製造される食品には使用されず、その食品中には原材料から持ち越された添加物が効果を発揮することができる量より少ない量しか含まれていないもの。”
引用:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/s0323-3e.html
- 加工食品の原材料になる食材の製造や加工で使われたものであること
- 加工食品を作るときには使われない食品添加物であること
- できあがった食品に、食品添加物そのものの効果をほとんど発揮しないこと
上記3点を満たす場合、①で使われた食品添加物の表示が免除されることを「キャリーオーバー制度」といいます。
キャリーオーバーの具体例
ここでは、キャリーオーバーの具体例を5つ紹介します。
せんべいの醤油
せんべいの味付けにはしょうゆが使用されているものがあります。
しょうゆに保存料の安息香酸やアルコールが使用されていたとしても、できあがったせんべいの保存料として効果を持たない場合はキャリーオーバーとして表示が免除されます。
パンのマーガリン
マーガリンが使用されているパンがあります。
マーガリンに酸化防止剤や乳化剤が使用されていたとしても、できあがった食パンの酸化防止や乳化剤としての効果を持たない場合はキャリーオーバーとして表示が免除されます。
チョコアイスのチョコ
チョコアイスには、チョコが使用されています。
チョコに乳化剤が使用されていたとしても、できあがったチョコアイスの乳化剤としての効果を持たない場合はキャリーオーバーとして表示が免除されます。
人気アイスチェーンでもキャリーオーバーの添加物がある可能性は否定できません。
アイスクリームの添加物については「【サーティワン添加物ランキング】人気アイス9種類を調査!」で解説しています。
おにぎりの塩飯
おにぎりの塩飯には、調味酢や食塩、植物油脂が一般的に使用されています。
調味酢や植物油には、酸化防止剤やシリコーン、酸味料などの添加物が使用されている可能性があります。
しかし、これらの添加物が使用されていたとしても、できあがった塩飯の添加物として効果を持たない場合はキャリーオーバーとして表示が免除されます。
コンビニおにぎりの塩飯については、こちらの「コンビニの塩おにぎりに添加物は使われている?一番シンプルで安全なのはこれ!」の記事で解説しています。
レトルトスープのベーコン
レトルトスープの原材料にベーコンを使っている商品があります。
ベーコンは一般的に発色剤が使われており、毒性が強いことで知られています。
しかし、発色剤が使用されていたとしても、できあがったレトルトスープの添加物として効果を持たない場合はキャリーオーバーとして表示が免除されます。
キャリーオーバーの注意点
キャリーオーバーは、細かい数値や規制がなく、メーカーが独自で判断しています。
令和元年8月に消費者庁が公表した資料によると、着色料や調味料、香料など五感を使う食品添加物は、原則としてキャリーオーバーは認められていません。
製造会社独自の基準で表示が免除されている食品添加物があるのは安心できませんね。
まとめ
添加物のキャリーオーバーについて管理栄養士みのりが解説しました。
せんべいのしょうゆに保存料が使用されていたとしても、原材料に保存料の表示義務はありません。
キャリーオーバーは、添加物が既に使用されている食品を原材料として使い、かつその添加物が完成した食品にはほとんど含まれていない場合は表示が免除されている食品添加物です。
食品表示法によって、使用した添加物の表示免除が認められているキャリーオーバー制度は、パッケージや原材料を見ただけでは本当に添加物が使用されていないのか判断できません。
キャリーオーバー制度は、食の安心・安全を求める消費者目線の親切な制度とは言えません。
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