チーズに使われるナタマイシンの危険性とは?|抗生物質が添加物として使われる理由
医療の現場では抗生物質として使用されているナタマイシン。
日本では、2005年に食品添加物としてチーズの表面にのみ使用が認められています。
ナタマイシンはチーズの保存料や防カビ剤として使用されますが、ナタマイシンの危険性やなぜ抗生物質が添加物として使われているのか理由が気になりますよね。
そこで今回は、チーズに使われるナタマイシンの危険性と抗生物質が添加物として使われる理由を管理栄養士みのりが解説します。
- ナタマイシンの危険性が気になる方
- チーズの添加物にナタマイシンが使われる理由が気になる方
- ナタマイシン不使用チーズの選び方を知りたい方
チーズに使われるナタマイシンの危険性とは?
ナタマイシンとは、カビを防いで保存期間を長くする目的で添加される食品添加物です。
日本では主に目の炎症を鎮める目的で使用されている抗生物質と同様の物質です。
2005年に内閣府食品安全委員会は、ナタマイシンは使用基準値内の使用であれば危険性は低いと結論付け、セミハードチーズとハードチーズにのみ使用を認めています。
日本では、ナタマイシンの使用基準は以下のように定められています。
- セミハードチーズとハードチーズの表面のみ
- 残存量は20㎎/kg 以下
使用基準が守られていれば安全である一方、食品中の抗生物質の残留に対する消費者の不安から、2005年にコープ(日本生活協同組合連合会)は、ナタマイシンの使用に関する意見書を厚生労働省に提出しています。
日本では、主に目の炎症(角膜炎)で抗菌薬のナタマイシンが使用されています。
食品衛生分科会では、耐性菌の出現とそれによる医療上の問題は過去に発生した事例がなく、今後も医療上の大きな問題になる可能性はほとんどないと結論付けています。
抗生物質のナタマイシンがチーズに使われる理由
抗生物質であるナタマイシンがチーズに使われる主な理由は、チーズ表面のカビ防止に有用であるためです。
ナタマイシンは表面処理のみで5mmの深さまでしか到達しないため、チーズ内部へ浸透することはありません。
ナタマイシンは、ハード系チーズの表面にのみ使用が認められています。
ナタマイシンは、同じ保存料としての役割を持つソルビン酸と比較すると、チーズ内部への浸透性が異なります。
ナタマイシンはチーズの貯蔵期間が長くなるにつれて残存量が減っていき、チーズ内部へ浸透することはありません。
一方、ソルビン酸はチーズの貯蔵期間が長くなるにつれて、内部へ浸透することが食品衛生分科会による資料で報告されています。
この結果から、チーズ表面のカビ防止にはナタマイシンが有用であることが分かります。
ナタマイシン不使用のチーズの選び方
添加物のナタマイシンは、セミハードチーズとハードチーズの表面に使用が認められています。
パッケージにも「保存料(ナタマイシン)」や「防カビ剤(ナタマイシン)」と表記されるので、必ず原材料表示はチェックしましょう。
セミハードチーズとハードチーズは、ゴーダやパルミジャーノ・レッジャーノ、チェダーなどです。
ナタマイシンが気になる方は、ハード系チーズではなく、モッツァレラチーズやカッテージチーズなどのフレッシュタイプや、白カビで熟成させたカマンベールチーズを選んでも良いですね。
また、通販ではナタマイシン不使用のチーズを手軽に購入できます。
まとめ
チーズに使われるナタマイシンの危険性と、抗生物質が添加物として使われる理由を解説しました。
チーズ表面に発生するカビを防ぐ目的で使われているナタマイシンは、海外における長年の使用経験から、使用基準内であれば人体への危険性は低いとされています。
さらに、抗生物質の使用による耐性菌が発生することによる医療上の危険性も極めて低いとされています。
しかしながら、日本では抗生物質が食品添加物として認められたのはナタマイシンが初めてで、その安全性に消費者からの不安の声があることも事実です。
不安が残る以上、ナタマイシンが添加されているチーズの使用は控えたいですね。
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